古くからこんぴらさんにたくさんの参拝客が訪れているのは、「信仰」だけではなく、門前町の「俗」も楽しめたからだそうです。確かに、こんぴらさんのお参りは伊勢神宮につづき是非とも訪れたい場所ではありますが、参拝だけでなく「お楽しみ」もいっぱいあったということが、更に人を集めた理由なのだそうです。
今回はその「お楽しみ」の1つとして大きな役割を果たした金毘羅大芝居を訪れました。
日本最古の芝居小屋「旧金毘羅大芝居」へ
まず、こんぴらさんの参道入口から徒歩6、7分のところに「旧金毘羅大芝居」はあります。
坂が少しきついですが、距離は近いので気楽に行ける場所かと思います。(運動不足の私は息切れしますが。)
到着すると、まずは入館料大人500円を支払いましょう。ホテルなどに置いてある「うどん県おもてなしパスポート」を持っていると100円引きになり、400円で入館できます。(※注 うどんパスポートは1人1冊必要です。100円って小さい金額のように思いますが、20%引きだと思うと大きい。)
こちらはもちろん名前の通り歌舞伎小屋なのですが、江戸時代には富くじ(≒宝くじ)の結果発表の場所にもなっていたそうです。一等賞が当たると、遊んで暮らせるような巨額の富を手に入れることができたようで、結果発表の時はかなり熱気に溢れた場所だったんだろうな。と、想像しながら中へ入ります。
斬新な舞台装置がたくさん詰まった芝居小屋
中に入ると、江戸時代の姿をそのまま残す芝居小屋に圧巻します。今でも現役で使われているのですから、尚のことです。花道も舞台も客席も控え室も・・・全て見学できるというのも見応えがあります。
まずは、花道から舞台へ。
花道を歩いていると、花道上の床に四角い切れ目があります。これは、スッポンという舞台装置で、下から飛び出すために使う装置なんだそうです。もちろん、江戸時代からあるものなので、人力で上下させるものです。(この下では屈強な男たちががんばっていたのでしょう。)
ただ、このスッポンのスペースは狭いんですよね。というのも、人間ではなく、幽霊の役などが出てくるのに使われたそうです。なお、人間の役の方が飛び出す用の一回り大きなサイズのスッポンは、舞台上にありました。
また、花道上部には「かけすじ」という、役者さんを宙吊りで移動させるという装置もありました。(これも屈強な男たちによる人力)
今の時代ならスイッチ一つでできてしまうことかもしれませんが、江戸時代にこれだけ舞台装置を整えた芝居小屋は無かったでしょうから、かなり斬新だったでしょう。
舞台へ
次は舞台に上がってみます。舞台にも円形の切れ目が入っており、舞台が回転する仕掛けだそうです。(by 屈強な男たち)
舞台から客席を見渡すと、誰もいない客席であってもドキドキ胸が高鳴るものです。木で区切られている1階の客席1マスには、4人も座られるそうです。かなりギューギューですよね。そして、2階席にはツウなお客さんが座られて、「ちょこりん屋!」「待ってました!」とか掛け声をかけられちゃったりなんかして。(妄想。ちょこりん屋って語呂の悪っ!)
舞台の見学が終わったら、次は地下の屈強な男たちの仕事場へ。
舞台装置を支える地下の仕事場
地下に降りると、人力で舞台を回転させるための装置や、スッポンを上下させる装置などを見学できます。どう見ても大変な重労働ですが、江戸時代に多くの人々を感動させた舞台装置を支えてきた屈強な男たちの仕事場なのでしょう。
控え室となるお部屋や髪の毛のセットをするお部屋なども見学しつつ、客席に回ります。
ロイヤルな席に座ってみる
1階席、2階席とたくさん席がありますが、最も位が高いとされている席は2階席横側の中央なのだそうで、皇太子さまもこちらで観覧したことがあるというロイヤルシートなのだそうです。(上の写真ですと、看板の下の柱の間隔が広くなっている席です。)
どうしても柱が視界に入ってしまうので、舞台正面の2階席の方が見やすい気がしたのですが、花道を歩く役者さんたちは、このロイヤルシート目掛けて見得を切るそうで、特等席なのだとか。(2階席正面は、ツウなお客さんの席ですね。)
そして、ふと天井を見上げると、ぶどう棚のように格子になっています。これはこのぶどう棚天井の上から紙吹雪などを客席に降らせるために、このような作りになっているそうです。
この天井で、仕事が辛くて泣いた人もいるはず。(なんて、妄想しすぎ?)
この客席に紙吹雪が降ってくる光景を想像すると、どれほど感動する舞台になるんだろうと、ドキドキしました。
おわりに
旧金毘羅大歌舞伎は、そこまで期待して訪れた場所ではなかったのですが、行った結果は大満足でしたでの行く価値は大いにあるかと思います。ゆっくり見学をしても30分もかかりませんので、こんぴらさんにお参りに行く際は、足を運んでみてください。
旧金毘羅大歌舞伎へのアクセス
◯琴電琴平駅より徒歩13分(坂がきついです。)
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