ヴァッハウ渓谷の旅①、②に引き続き、オーストリア国営鉄道の企画切符「ヴァッハウチケット」を使ったウィーンからの日帰旅行記。今回は、デュルシュタインの街をご紹介します。
デュルンシュタインでは、青い塔のある修道院を見学した後、街歩きを楽しみます。
デュルンシュタインの街
中世の街並みを残しているデュルンシュタインの街は、まるで映画の中のような、おとぎ話の国のような、とてもかわいらしい町です。
蔦のアーチの中を通ってみると、レストランに通じていたり、何から何までメルヘンな雰囲気に満たされています。
お店の看板だってアートです。日本も看板が多い国だと思うのですが、こういう昔ながらのアート作品のような看板は、ヨーロッパならではのものですね。
デュルンシュタインは観光地なので、お土産屋さんがたくさんあります。
デュルンシュタインは、杏とホイリゲというワインが有名なので、まずは杏からいただくことにしました。
ちなみに、杏はこちらの地方では、Marillen(マリーレン)と言うそうです。これさえ覚えておけば、名物の杏アイスも注文できる!と、食い意地を張っている私はすぐに覚えることができました。
名物の杏やワインをいただこう
ブラブラと一通り街を歩いた後、こちらのお店で杏アイスをいただくことにしました。
Bäckereiと書かれている通り、メインはパン屋さんですが、アイスも売っています。€3程度だった気がします。早速杏アイスを購入して、いただきます。
甘いだけではなく、杏の酸味も感じられるアイスクリームで、しつこくなくさっぱりとしていて美味しかったです。なめらかさでいうと、ややシャーベット寄りのさっぱり系です。
海外のお菓子(特にアメリカ)の中には甘すぎるものが多かったりしますが、オーストリアはお料理もお菓子もおいしくて、ついつい食べ過ぎてしまいました。
(私は好き嫌いが無く、基本的に何でもおいしくいただけるというお得な胃袋を持っています。)
次は、ブラブラとお土産屋さんへ。お店が可愛すぎるのです。
杏のお酒が小瓶で売られていて、見ているだけでもかわいいです。
他にも杏を使った基礎化粧品や石鹸なども売られていて、女性のお友達へのお土産にはぴったりですね。そして、こんなかわいいお店をご夫婦で切り盛りしているなんて、素敵です。
お土産を見た後は、どんどん道を進んでいき、ホイリゲを扱っているワインショップに立ち寄りました。この時は、ホイリゲの季節ではなかったので、お店の方におすすめのワインを聞いて、1杯いただくことにしました。ただグラスワインを1杯いただくだけなのに、いろいろとテイスティングもさせてくれて、とてもフレンドリーな店員さんでした。
お酒は決して強い方ではないので、グラスワイン1杯だけで、結構いい気分になります。特にこのワインはすごくフルーティーで、甘過ぎず、とてもおいしかったです。
ひとり旅で重い荷物を持ち歩く自信がなかったので、グラス1杯いただいただけでしたが、もし、誰かと来ていたら確実にこのワインをボトルでいただいていたと思います。それほどおいしくて、忘れられない味です。
こうして、おいしいワインをいただいてテンションの上がった私は、冒険に出ようと決意します。
「私はお城めぐりが趣味だよね。」→「あれ、あの山の上にお城がある!」→「行かなくちゃ!なぜなら、私はお城ハンター。」といった思考回路で、山の頂上にあるデュルンシュタイン城を目指します。
デュルンシュタインのお城「ケーンリンガー城」へ
この左側の岩の塊のように見えるものがデュルンシュタインのお城、ケーンリンガー城です。お城といっても、見ての通り、シェーンブルン宮殿などの豪華絢爛なお姫様が暮らしていたとかいうお城ではありません。今は、廃墟となったお城なのです。
リチャード1世を幽閉していたという場所なので、お城というより要塞?というイメージでしょうか。
まず、これからデュルンシュタインに行かれる方のために、最初に言っておきたいことは、生半可な気持ちでケーンリンガー城を目指してはいけないということ。
かなりの急勾配に手すりもない砂っぽい滑る道。一歩道を踏み外したら、大怪我します。日本ならおそらく立入禁止になっているはずの危険な場所です。
最初はウキウキ気分で登り始めました。
こんな感じの山道が続きます。森の中をハイキングという気分ですが、途中からかなりの急勾配で道無き道を進むことに心が折れそうになります。途中からあまりのハードな道に、心が無の境地に突入します。
登ること25分、やっと入口?が見えて来ます。
このゲートが見えた時の嬉しさといったら。ただ、地面を見てください。小石が転がっていて、かなり滑って危険です。
そして、更に登っていくとお城に到着です。
これが、デュルンシュタインのお城「ケーンリンガー城」です。この一番上まで登っていきます。ここからは、廃墟をよじ登っていきます。つまり、手も使って、石をよじ登ります。手すりも何もないので、ちょっと怖くてへっぴり腰だったことは、言うまでもありません。
よし、頂上だ!
頂上には先にマッチョの若いお兄さんがいて、「よくここまで登ってこれたね!」と褒められました。よく登れたな、私、と自画自賛です。
ドナウ川と山々が美しい。さすがヴァッハウ渓谷。
上の写真には青い塔のある修道院が中央右側に写っています。これで距離感を少しわかっていただけるでしょうか。
とても大変な思いをしたけれど、頂上まで登りきったという達成感と360度見渡せるヴァッハウ渓谷の絶景を見ていると、心が満たされました。感動した。
少し時間をかけて、この景色を目の奥に焼き付けたら、来た道を下ります。
登りより下る方が難しいんですね。急勾配の坂道を下るのは難しいです。時間をかけてなんとか下ったら、もう夕方でした。
ヴァッハウチケットは、メルクからクレムスまでのクルージング料金(途中下車可)が含まれているので、船を使ってクレムスに行こうと思いましたが、最終の船の時間は過ぎてしまったので、バスでクレムスまで行くことにしました。(クレムスからウィーンの電車代はヴァッハウチケットに含まれます。)
バスは1時間に1本しかありませんので、ご注意ください。残念ながら、バスは行ったばかりでしたので、最後にのんびり街を歩くことに。
ワインが有名なこの街には、大きなぶどう畑がありました。
もうぶどうが実っています。今年のワインも楽しみですね。次はホイリゲが出回る季節に訪れたいな。
そうこうしている間にバスの時間に。
クレムス経由でウィーンに帰る
バスに乗車した時、運転手さんに、「ヴァッハウチケットで来たけれど、船の時間が合わなくて乗れなかったのですが、クレムスまでいくらですか?」と伝えたら、このチケットでバスに乗れると言われました。(いや、バス代は含まれていないと思うけど、船に乗れなかったアジア人をかわいそうに思って乗せてくれたのでしょうか。それとも本当にバス代も含まれたチケットなのでしょうか。真相は不明。)
バスはクレムスの駅行きなので、乗り過ごしてしまうことはありません。終点で降りましょう。
クレムスの駅に着いたら、ウィーンへ向かう電車に乗ります。
これも、電光掲示板に何時発の電車がどこ行きなのか表示されているので、ウィーン西駅(Wien West)に行くものに乗車するだけです。
こうして、ヴァッハウチケットを使ったウィーンからの日帰旅行を楽しみました。
おわりに
ヴァッハウチケットを使って、
ウィーン→メルク(街歩き・メルク修道院)→ドナウ川クルージング→デュルンシュタイン(街歩き・食べ歩き・ケーンリンガー城)→クレムス→ウィーン
という日帰旅行を3回に渡ってご紹介させていただきました。
企画切符を使うと、料金を抑えられるし、効率的に旅行ができるのでとても便利でしたし、ヴァッハウ渓谷は美しいので来ることができて本当に良かったと思いました。
オーストリアを旅行するのであれば、ウィーンやザルツブルクといった都市だけでなく、ヴァッハウ渓谷もオススメしたい場所です。
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